はじめに
犬を上手に躾けることは、飼い主にとって大きな課題の一つです。叱り方を間違えると、かえって問題行動が悪化したり、犬への心理的ダメージを与えてしまう可能性があります。本記事では、犬を適切に叱る方法について、詳しく解説していきます。
叱る際の基本的な心構え
犬を叱る際は、まず飼い主自身の心構えが重要です。感情的になって怒鳴ったり、体罰を与えたりするのは絶対に避けましょう。
冷静で統一された態度
犬を叱る際は、冷静な態度で臨むことが大切です。高い声を出したり、感情的になると、犬は怖がってしまいます。家族みんなで統一された叱り方をすることで、犬の混乱を防ぐことができます。
例えば、低い声で短い言葉を使って「ダメ」と伝えるなど、飼い主全員で同じ基準で叱るようにしましょう。一貫性のある対応が、犬の理解を深めます。
体罰やマズルコントロールは避ける
体罰やマズルを掴むなどの方法は、絶対に避けるべきです。犬にとって理不尽な行為であり、怪我や心理的ダメージを与えてしまう可能性があります。代わりに、モチベーショナルトレーニングなど、報酬を活用した方法を取り入れましょう。
体罰をすると、犬は飼い主を恐れるようになり、信頼関係が損なわれてしまいます。また、問題行動の本当の原因に目を向けられなくなってしまいます。
犬の習性や反応を理解する
犬を適切に叱るには、犬の習性や反応を理解することが欠かせません。例えば、犬は過去のことを振り返ることができないため、問題行動をした瞬間に叱らないと意味がありません。また、犬が反省しているしぐさ(あくび、目をそらす、お腹を見せるなど)を読み取り、それ以上叱らないことも大切です。
各犬の性格や成長段階に合わせて柔軟に対応することで、より効果的なしつけができるはずです。
適切な叱り方のポイント
犬を叱る際の具体的な方法について、ここで詳しく見ていきましょう。
問題行動をした瞬間に叱る
犬を叱る際は、問題行動をした瞬間に行うことが重要です。例えば、室内でオシッコをした場合は、オシッコをする行為を目撃した時に低い声で「ダメ」と言います。
過去のことを振り返ることはできませんから、その場でない叱り方は効果がありません。徹底して現行犯主義を貫きましょう。
短い言葉で低い声を使う
叱る際は、「ダメ」「イヤ」など、短い言葉を低い声で伝えるのがポイントです。長い言葉を使うと、犬には理解しづらくなってしまいます。
また、高い声で叱ると、犬は脅威を感じてしまいます。低い声で落ち着いて叱ることが大切です。
叱った後は必ず褒める
叱った後は、必ず犬の良い行動を褒めて終わりにすることが重要です。これにより、犬に「何が正しい行動なのか」を理解させることができます。
例えば、室内でオシッコをした後に外に出してトイレをさせた場合は、大げさに褒めましょう。このような繰り返しで、犬はしつけられていきます。
問題行動別の対処法
ここでは、代表的な問題行動とその対処法を紹介します。
トイレのしつけ
トイレのしつけは、犬を飼う上で最も重要なことの一つです。室内でオシッコやうんちをした場合は、叱るのではなく、ささっと掃除するだけにとどめましょう。犬は「排泄をしたから怒られた」と認識してしまい、見つからない場所で排泄するようになってしまうからです。
代わりに、外でトイレをさせられたら大げさに褒め、トイレの場所を覚えさせていきます。また、定期的に外に連れ出すなど、環境作りにも気をつけましょう。
無駄吠えへの対応
無駄吠えへの対応としては、「要求吠え」には反応せず無視することが重要です。中途半端に「吠えちゃダメ」と言うと、犬は「反応してくれた」と思い、かえって要求吠えが増えてしまうからです。
落ち着いた際に大げさに褒めるなど、無視と報酬を組み合わせて対応しましょう。また、運動不足や退屈さが原因の場合は、散歩の時間を増やすなどの対策も必要です。
噛み癖への対処
噛み癖への対応として、低い声で「ダメ」と叱り、噛んでいいおもちゃを与えて褒めることで、物や人ではなくおもちゃを噛むよう習慣づけることができます。
また、噛まれた際は無視することも効果的です。注目を浴びると、かえって噛む行為が強化されてしまうためです。噛まれたら無視し、別の場所に移動するなどの対応をとりましょう。
叱らずに予防する工夫
犬のしつけでは、叱るだけでなく、問題行動を未然に防ぐ工夫も重要です。
いたずらに耐えられる環境づくり
犬のいたずらを防ぐには、犬が手を出せない場所に大切な物を置くなど、環境づくりが欠かせません。また、ケージなどの空間を確保して、離れている間の行動を制限することも有効です。
犬の短期記憶を考慮して、長時間放置しないことも大切です。飼い主が不在の際は、ペットホテルなどのサービスを利用するのも一案です。
犬の欲求を満たす工夫
犬の運動不足や退屈さが問題行動の原因になることがあります。十分な散歩や遊びの時間を確保し、犬の欲求を満たすことで、いたずらを防ぐことができます。
また、しつけに励んだり、新しいトリックを教えたりするなど、犬の知的欲求を満たす工夫もできます。飼い主と一緒に楽しめる時間を作ることが大切です。
まとめ
犬を適切に叱ることは、しつけの上で非常に重要です。しかし、単に叱るだけでは本質的な改善にはつながりません。犬の習性を理解し、冷静で統一された態度で臨むことが何より大切です。
叱った後は必ず褒めて、何が正しい行動なのかを示すことも忘れずに。問題行動への対処法を覚えつつ、犬の欲求を満たす工夫をすることで、よりスムーズなしつけが可能になるはずです。飼い主の皆様には、犬との信頼関係を深めながら、楽しくしつけに取り組んでいただきたいと思います。
コメント